「第10回総合診療の指導力育成事業(徳島GMラウンド)」

徳島県内で地域医療に携わる若手医師のキャリア形成支援事業の一環として、平成27年10月24日(土)に「第10回徳島GMラウンド」が開催されました。今回の第10回徳島GMラウンドは徳島大学病院が担当し、徳島大学病院新外来棟5階の日亜ホールWhiteで開催しました。講師に神戸市立医療センター中央市民病院総合診療科副医長の金森真紀先生をお招きし、「しっかり聞いて、すっきりまとめる~問診とプレゼンの力をつけよう~」のタイトルで行われました。医学生、研修医、専攻医、そして指導医等、合わせて53名が参加し、午後1時30分から午後6時まで、講義と症例呈示、そして討論・質疑応答と内容の濃いGMラウンドとなりました。総合司会は徳島県地域医療支援センター専任の手塚医師が務め、質疑応答の司会を谷副センター長、閉会の挨拶を赤池副センター長が務めました。

前半は徳島大学医学科5年生と徳島県内の初期臨床研修医からの事前アンケート調査結果を元に、彼らが問診とプレゼンに関して日頃どのような悩みを抱えているかが紹介されました。良いプレゼンができるようになるためには、プレゼンの流れとして①情報収集、②情報整理、③情報伝達、を意識しながらトレーニングを繰り返すことが大切であると教えていただきました。情報収集では、Semantic Qualifier(SQ)を意識しつつ、聞く、聴く、訊く、の3つのレベルの「きく」を使い分けることがポイントであること、情報整理では、収集した情報の核を見極めることが大切であること、そして情報伝達では、フルプレゼン、回診プレゼン、ERプレゼンなどその場に応じたプレゼンの方法をうまく使い分ける必要性についてお話いただきました。また、プレゼンを受ける側の注意点としては、診察していない患者の診断に関わることを意識し、必要に応じて再度一緒に診察することを惜しまないということでした。

後半は、金森先生ご自身が実際に経験された症例を呈示していただき、参加者との議論を交わしながら診療現場の緊張感のある雰囲気の中で行われました。前半の講義で紹介されたSQを意識した情報収集法とそのまとめ方、鑑別診断の考え方、そして診断への導き方、を一連の流れの中で具体的に分かりやすく解説していただきました。

最後の全体討論では、参加者からの多くの質問にお答えいただき、参加した学生と研修医にとっては、問診とプレゼンとともに臨床推論を学ぶよい経験となり、指導医にとっては今後の臨床・教育現場での指導力を高める貴重な機会となりました。