第1回「総合診療の指導力育成事業(徳島GMラウンド)」
本センターでは、徳島県内で地域医療に携わる若手医師のキャリア形成支援事業の一環として、今年度から教育カンファレンス・教育回診を実施し、総合的診療能力の高い指導医養成支援をすることとなりました。
第1回目は8月10日(金)・11日(土)の2日間、講師に川尻宏昭先生(名古屋医療センター総合内科部長)をお招きして、徳島県立中央病院が担当し、開催しました。
8月10日(金)は、救急外来や病棟教育回診を実施し、安井夏生センター長をはじめ複数の病院から指導医研修医が参加して、研修医指導を学ぶことができました。
また、講演会「急性期病院における総合診療部門の可能性」を開催し、総合診療部門が急性期病院の中でも大きなニーズがあり、各病院の状況に応じた機能を発揮できれば、診療と研修教育に貢献できることを、ご自身の体験を通してご講演下さいました。
翌11日(土)には、教育的カンファレンスを実演していただきました。
川尻先生が体験した実症例を提示し、良く分からない症例をいかに考えてどのような検査を追加していくか、参加者をペアにして意見を出し合い、最後は専門診療科に引き継いだ後の経過が説明されました。最終診断がやや曖昧な症例でしたが、かえって実際に臨床で困った症例の振り返りカンファレンスを教育的に行なう過程が実感できました。また、週間スケジュールの中の各種カンファレンスの違いについて議論しました。
同日、会場を日亜メディカルホール(徳島大学病院西病棟11階)に移して、共催に徳島県医師会を加え、講演&ミニシンポジウム「急性期病院の総合診療部門」を開催しました。川尻先生から、概念も育成方法も混乱している「総合医」について、分かりやすく整理された講演をいただきました。
次いで3人の演者から県内の取り組みについて紹介していただきました。徳島赤十字病院からは、総合診療のニーズは大きいが、内科全体で分担して総合診療を担当しているとの報告があり、徳島大学病院からは、地域医療実習など、卒前早期からの取り組みについての紹介がありました。徳島県立中央病院からは、新病院開設時に新設される「総合診療科」の準備状況が提示されました。急性期病院の中に総合診療の大きなニーズがあり、各病院の状況に応じた解決法を見い出す必要性が確認された貴重な時間となりました。