後輩たちへ
徳島大学病院精神科神経科に勤務している木下誠といいます。医師になって7年目、精神科に入局して5年目です。何度か転勤を繰り返した後に大学勤務となり、大学院にも入学し、診療の傍らで研究も行っています。
精神科への入局は学生の頃、しかも比較的早い段階で考えていましたが、初期研修は敢えて精神科のない病院を選びました。愛媛県四国中央市にある石川病院という病院です(病院ホームページに臨床研修医日記があるので参考にしてください)。この病院の存在を知ったのは6年生になってからで、決断は早かったと思います。徳島県内にも多くの魅力的な研修先がありますが、大人数の研修医の中の1人になるのはつまらない。だけど都会の病院には興味がないという理由で選びました。そこで1年半研修しましたが、率直に言ってこれまでの人生では味わったことのない大変な苦労を体験しました。幼少の頃から医者を志し、とうとう実現した結果がこの辛さかと思い悩みましたが、それを乗り越えた今はいい経験だったと感じています。
徳島大学病院精神科には、10年以上途切れなく入局者がいます。1人きりで研修をしておいて言うのもなんですが、同期の医者が身近にいるのはいいものですし、幅広い層に医局員がいるというのも心強いです。同業者は自分の味方です。苦しい時も彼らに助けてもらえれば乗り越えていくことができます。最近は医局に属しない医者が増えていますが、伝統的な医局制度もいいものです。
初期研修を行っている時に、ある先生がこう言葉をかけてくれました。「医者の仕事は2、3年で終わりではない。何十年も続けるのだから余裕をもってやれ」と。頑張るなということではありませんが、数年先だけではなく、5年後の自分、10年後の自分、その更に先の自分をうっすらでもいいので思い描いていくことが大切なんじゃないかと思います。偉そうに言っても僕は全然できていませんが。