スタートラインに立つ方々へ

藤中 雄一 (徳島県鳴門病院内科)

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徳島県鳴門病院内科の藤中雄一と申します。私は、入局と同時に大学院に進学したため、1年半の研修の後、3年間は臨床を離れて研究に従事しました。そのため、同僚が研修を終えて関連病院に旅立つ時には、医者としての出遅れをとても不安に感じました。そんな時、とある先生から教えて頂いたのが、「10年横並び説」でした。これは、「どんな優秀な医師も、そうでない医師と10年毎に実力が横並びになる」という説だそうです。真偽のほどは定かではありませんが、何故か意識するようになり、この説には二つの意味があると感じました。「慣れは成長速度を鈍らせる」こと、「10年毎に立場が変わる」ということです。臨床に戻った時には、やはり3年の遅れは大きなものでしたが、医学を違った視点から見ることができるようになり、学位を取ったことで海外留学もできました。大学に戻った時は、専門医取得とともに、学生・研修医の教育も担うようになり、一から勉強し直した感じでした。留学に至っては、医者でもない学生からのやり直しでした。現在、二度目の鳴門病院ですが、総合内科の外来には専門外の患者さんも多く、未だにいろいろと勉強させて頂いております。自身では、大学に居たこともあり、常に違うことに取り組めたので、緊張感をもってステップアップでき、前述の惑星直列のような10年ジンクスには陥らずに来れたつもりですが、どうでしょうか。

私は医者になって20年以上になりますが、皆さんには遙か遠くの地点に感じるかもしれません。フルマラソンと同様、まず10kmずつの具体的な目標地点を目指しながら、ゴールまでのペース配分も考えてスタートラインに立ってみてはどうでしょうか。後で振り返ると、あまり無駄になる事は無いので、いろんな経験をして、多くの人に出会えば良いと思います。好奇心と向学心をもってがんばってください。

後輩へのメッセージ

スタートラインに立つ方々へ、初期研修は、医師生活の事始めです。将来の拡張性を得るために、幅広い経験をしてください。研修施設を厳選することも大切ですが、様々な場所で働いてみるのも良いと思います。いろんな景色を見てください。