すべての道はローマに通ず!?

藤原真治 (美馬市国民健康保険木屋平(こやだいら)診療所)

すべての道はローマに通ず!?の画像

進路に関し、自分は自治医科大学の卒業生として、へき地で勤務することが入学時から決まっていました。ただ、へき地を経由して将来に向かうレールは1本だけではありません。

本原稿を執筆するにあたり自分のことを振り返ると、即断即決が苦手で、迷いながら、選択肢を一つ一つ検討しないと気が済まないタイプなのだなと改めて思いました。学生時代は、中国・瀋陽にある中国医科大学に1年間の留学をさせて頂きました。卒後、義務年限後の進路を選択するまでに、大学病院からへき地の診療所まで様々な規模の医療機関に勤務し、専門医、総合医それぞれの素晴らしさ、やりがいなどをご指導頂く機会がありました。母校で、総合医として若い方々を指導する立場になったり、研究に関わったりする時間を頂いた時期もありました。

卒後18年目の現在、義務年限終了後も山間へき地の診療所で地域医療に取り組み続けています。結局、自治医科大学を志望した初心を貫くことに決めたのです。いざ決めてみると、これまでに経験したことが少なからず生かされることに気づき、医師という仕事はおもしろいなと思いました。例えば、地域医療の現場とは関係が薄そうだった教育も、今ではとても大切なものになりました。もっと関係が薄そうだった研究も、地域医療の質向上の点で大いに役立っています。地域で必要性が高いテーマであることが現場で臨床研究を実行する条件だと考えていますが、研究計画を練り、結果を考察する過程で、地域や住民の方々をより良く知ることになりました。地域で得たデータを持ってアメリカの研究所に留学させて頂いたり、国際学会に行かせて頂いたりして、楽しみながら、地域医療を自分なりに深める一つの軸になっています。

「地域医療」というテーマを持ちながらも、自分は将来についていろいろと考えました。即断即決が苦手な方は大いに考え続け、“しわしわ”と覚悟が決まってくるのを待ってもいいと思います。

後輩へのメッセージ

様々な環境に身を置き、多くの人と出会う中で、自分なりのスタンスや将来像が作られていくと感じます。この道を進もうという気持ちが自然に湧いてくるまで、いろいろと経験しながら考え続けるのも方法だと思います。